Column

アブダビ不動産の購入の流れと諸費用|日本から買う7ステップ

記事・コラムBITEX HOLDINGS LLC 編集部

「アブダビで不動産を買いたいが、日本からどう進めればいいのか」「物件価格のほかに何がかかるのか」——アブダビ不動産のご相談で特に多い質問です。本稿では、外国人が購入できるエリアの考え方から、予約・契約・登記・引渡しまでの流れを7つのステップに分け、登記料などの諸費用、オフプラン(建設中物件)特有の手続き、日本居住者が注意したい税務のポイントを、デベロッパーの公式情報・法律事務所の解説・主要報道をもとに整理します(情報確認日:2026年10月26日)。

要点内容(出典ベース)
買えるエリア外国人は指定の「投資ゾーン」でフリーホールド(完全所有)が可能(MODON)
主な流れ物件選定 → 資金計画 → MoU・予約金 → 確認・NOC → 登記・権利証 → 引渡し
登記料取引価格の2%。法令上は原則として売主・買主で折半(Al Tamimi、MODON)
諸費用の目安物件価格の約5〜7%(登記料・仲介手数料・ローン登記など。MODON)
オフプラン予約金(EOI)はADRECのMadhmounで登録しエスクローで管理(2026年2月〜)
保有中の税個人に家賃収入・売却益への所得税や固定資産税はない(MODON)。日本居住者は日本で申告が必要

1. 前提 ── 外国人が買えるのは「投資ゾーン」の物件

アブダビでは、外国人が不動産を所有できる場所が法律で定められています。政府系デベロッパーMODONの購入ガイド(2026年4月)によれば、2005年の法律第19号では外国人の権利は99年のリース(借地権型)が中心でしたが、2019年の法改正で、指定された「投資ゾーン」において外国人も土地・建物をフリーホールド(期限のない完全所有)で取得できるようになりました。

同ガイドが挙げる投資ゾーンは、フダイリヤット島、リーム島、アルマリヤ島、ヤス島、サディヤット島、ラハビーチ、マスダールシティ、アルリーフ、アルガディール、アルシャムハなどです。ただし、投資ゾーンの一覧は資料や時期によって記載が異なります。購入を検討する物件が外国人のフリーホールド対象かどうかは、契約前に必ず確認してください。各エリアの性格や価格帯はアブダビ不動産エリアガイドで比較しています。

フリーホールドで取得した物件は、売却・賃貸・担保設定が可能です(MODON)。一方で、デベロッパーや管理組合が定めるコミュニティ規約に従う必要があります。

2. 購入の流れ ── 7つのステップ

完成済み物件(中古・セカンダリー)を例に、一般的な流れを整理します(MODONの購入ガイドをもとに、日本から購入する場合の準備を加えて構成)。

  1. 目的と予算を決める:自己居住・賃貸運用・将来の売却・ゴールデンビザの取得など、目的によって選ぶべきエリアと物件タイプが変わります。
  2. エリアと物件を選ぶ:予算、間取り、立地、完成済みかオフプランかを比較します。MODONは、外国人の購入実績が多い認可済みのデベロッパーや仲介会社と進めることを勧めています。
  3. 資金計画を立てる:現金購入か、UAEの銀行の住宅ローンを使うかを決めます。ローンの条件は居住者か非居住者かで大きく異なります(後述)。
  4. MoU(覚書)の締結と予約金:物件が決まったら売主と売買条件をまとめたMoUを結び、物件価格の5〜10%程度の予約金(デポジット)を支払います(MODON)。
  5. 確認とNOCの取得:権利関係などを確認したうえで、デベロッパーが売却を承認する「NOC(異議なし証明書)」を発行します(MODON)。
  6. 所有権移転と登記:市町村・運輸局(DMT)で売主・買主が最終契約に署名し、登記料などを支払うと、買主名義のタイトルディード(権利証)が発行されます(MODON)。アブダビの売買手続きは行政ポータルTAMMや不動産プラットフォームDARIでも扱われています。
  7. 引渡しと運用開始:鍵の受け取り、電気・水道などの契約、管理会社の選定を行い、賃貸に出す場合は入居者募集を始めます。MODONによれば、新築物件には構造上の欠陥について10年間の保証制度があります。

日本から購入する場合、現地に何度も渡航せずに進めるケースもありますが、契約書の内容、送金の記録、名義の表記(パスポートとの一致)などは、手続きのたびに求められます。書類は早めにそろえておくとスムーズです。

3. オフプラン(建設中物件)の場合 ── 2026年に変わった2つの仕組み

アブダビの新規分譲は、完成前に販売されるオフプランが中心です。頭金と建設期間中の分割払いの仕組みはアブダビ不動産市場のすべてで解説しています。ここでは、2026年に始まった買主保護・資金調達の新しい仕組みを紹介します。

(1) 予約金(EOI)のデジタル登録とエスクロー:Gulf News(2026年2月)によれば、アブダビ不動産センター(ADREC)は、オフプラン物件の購入意思表示(EOI:完成前に支払う予約金や申込み)を同センターのプラットフォーム「Madhmoun(マドムーン)」で登録する仕組みを導入しました。新規のオフプラン案件を販売するデベロッパーはEOIをMadhmounでオンライン登録する必要があり、EOIの資金はADRECが監督する政府管理のエスクロー口座で保全されます。デジタルでの返金手続きも導入されたとしています。

(2) 完成前の住宅ローン:Gulf News(2026年9月)によれば、ADRECの新しい枠組みのもとで、大手デベロッパーAldarとアブダビ商業銀行(ADCB)が、オフプラン物件に対する初の住宅ローン登記を完了しました。対象物件の価格の50%を支払った買主は、残りの分割払いと引渡し時の支払いをローンでまかなえるようになり、銀行の権利はADRECの「初期不動産登記簿(Initial Real Estate Register)」に記録されます。50%という基準はUAE中央銀行の規制に沿ったものだとAldarは説明しています。

オフプランは、完成までの期間や支払いスケジュール、デベロッパーの信用力によってリスクが変わります。契約前に、支払い時期・引渡し予定・遅延時の取り扱いを確認しておきましょう。

4. 購入時の諸費用 ── 物件価格の「約5〜7%」を見込む

費用目安出典
登記料(所有権移転)取引価格(または市町村の評価額のいずれか高い方)の2%Al Tamimi、MODON
仲介手数料2%程度(交渉可。仲介会社を使う場合)MODON
住宅ローンの登記料借入額の0.25%MODON
NOCの発行手数料AED 500〜5,000MODON
権利証の発行関連費用AED 1,000〜5,000MODON
管理費(保有中・毎年)1平方フィートあたりAED 10〜35MODON

登記料2%の根拠と負担者:法律事務所Al Tamimi & Companyの解説によれば、2018年のアブダビ執行評議会議長決議第49号は、売買登記料を取引価格の1%以上4%以下の範囲で定めるとしたうえで、原則として売主と買主が折半し、別段の合意があればそれに従うとしています。同解説の時点では具体的な率を定める決議が出ておらず、市町村は2%を適用していました。MODONの2026年のガイドも、登記料は2%で、一般的に売主と買主で折半すると説明しています。実際の負担割合は売買契約で決まるため、契約書で必ず確認してください。

MODONはFAQで、登記料・仲介手数料・ローン登記料などを合わせ、物件価格の約5〜7%を諸費用として見込むよう案内しています。費用の金額や区分は改定されることがあるため、最新の金額はADREC・TAMMや取引先で確認してください。

5. ローンを使う場合 ── 居住者と非居住者で条件が異なる

MODONのガイドは、UAEの銀行は外国人にも住宅ローンを提供しているものの、条件は居住ステータスによって異なると説明しています。同ガイドが紹介する目安では、UAE居住者の場合、AED 500万以下の物件で頭金20%以上、AED 500万超で30%以上、非居住者の場合は頭金25〜50%程度とされています。金利や審査書類も居住者と非居住者で差があります。

日本居住者がUAEの銀行で借入をする場合、収入証明や在籍確認などの審査は居住者より厳しくなるのが一般的です。ゴールデンビザを視野に入れる場合は、ローンの借入先によって扱いが変わる点にも注意が必要です(詳しくはアブダビ ゴールデンビザ取得条件を参照)。

6. 保有・売却時の税金 ── UAEと日本の両方を確認する

UAE側:MODONによれば、UAEでは個人に対して家賃収入や不動産の売却益への所得税・キャピタルゲイン税はかからず、毎年の固定資産税もありません。一方、特別目的会社(SPV)を含む法人で保有する場合は、UAEの法人税の規定が適用されます。

日本側:日本の税法上の居住者は、国外で得た所得も日本で課税対象になります。アブダビの物件の家賃収入は不動産所得として、売却益は譲渡所得として、日本で申告が必要です。また国税庁の案内によれば、年末時点の国外財産の合計額が5,000万円を超える居住者(非永住者を除く)は「国外財産調書」の提出が必要です。このほか、国外の中古建物について減価償却を簡便法などで計算した場合に、不動産所得の損失が生じなかったものとみなされる特例もあります。

税務の取り扱いは個人の状況や制度改正によって変わります。最新の情報は国税庁や税理士などの専門家にご確認ください。

7. 日本から購入するときのチェックリスト

  • 外国人の所有対象か:物件が投資ゾーン内で、フリーホールドで取得できるかを確認する。
  • 名義:個人名義・共有名義・法人名義のどれにするかで、ビザや税務の扱いが変わる。購入前に決めておく。
  • 費用の総額:物件価格に加え、登記料・仲介手数料・管理費などを含めた総額で資金計画を立てる。
  • 支払いの証跡:送金記録や領収書は、登記・ビザ申請・日本の確定申告で必要になる。整理して保管する。
  • オフプランの条件:支払いスケジュール、引渡し予定日、エスクローでの資金管理、遅延時の取り扱いを契約書で確認する。
  • 運用体制:賃貸に出す場合の管理会社、入居者募集、修繕の対応を、購入前に想定しておく。

8. まとめ ── 流れと費用を知ってから物件を選ぶ

アブダビでは、外国人も投資ゾーンでフリーホールドの不動産を取得でき、MoU・NOC・登記という比較的わかりやすい手順で所有権を移転できます。2026年にはオフプランの予約金のエスクロー管理や、完成前の住宅ローンの仕組みも始まり、買主保護と資金調達の選択肢が広がっています。一方で、登記料2%を含む諸費用、ローン条件の違い、日本での税務申告など、物件価格だけでは見えないコストや手続きもあります。

市場の中長期的な見通しはアブダビ不動産の将来性で整理しています。物件選定から契約・登記・引渡し後の運用まで、BITEXのアブダビ不動産事業が日本語でサポートします。購入の可否や投資判断は個別の状況によって異なるため、具体的な検討の際はご相談ください。

主要出典:MODON「A complete guide to buying property in Abu Dhabi」(2026年4月)/Al Tamimi & Company「A New Schedule of Fees for Real Estate in Abu Dhabi」(Abu Dhabi Executive Council Chairman Resolution No. 49 of 2018の解説)/Gulf News「Abu Dhabi now requires digital registration for off-plan property interest」(2026年2月)/Gulf News「New mortgage option opens for Abu Dhabi off-plan buyers with Aldar and ADCB deal」(2026年9月)/国税庁「国外財産調書制度」関連資料。いずれも2026年10月26日に確認。

さらに詳しく知りたい方へ

情報誌『アブダビの全て 2026』は、全38ページ・6章構成の完全保存版です。市場データ、エリアガイド、税制・ビザ、購入の流れ、リスクまでを出典付きで収録しています。PDFはこちらのページから無料でダウンロードいただけます。個別のご相談はお問い合わせより承ります。

本稿は2026年10月26日時点のデベロッパー・法律事務所・報道機関・公的機関の公開情報をもとにBITEX HOLDINGS LLC 編集部が作成したものです。手続き・手数料・税制は改定されることがあり、記載内容の正確性や投資成果を保証するものではありません。購入・投資判断にあたっては、最新の公式情報と専門家への確認をお願いします。

コラム一覧へ | アブダビ不動産事業について | お問い合わせ