アブダビで一定額以上の不動産を保有すると、UAEの長期居住ビザ「ゴールデンビザ」を申請できます。スポンサー(雇用主など)が不要で、家族も帯同できる——日本の投資家からも問い合わせの多い制度です。本稿では、アブダビ居住者事務所(ADRO)とUAE連邦の入国管理当局(ICP)の公式情報をもとに、不動産投資家向けゴールデンビザの条件・必要書類・申請の流れを整理します(情報確認日:2026年10月14日)。
| 要点 | 内容(公式情報ベース) |
|---|---|
| 投資額の基準 | 不動産の合計価値がAED 200万以上(1AED=40円換算で約8,000万円) |
| 有効期間 | 10年(ADRO・ICP)。更新可能 |
| 家族 | 配偶者・子どもの帯同が可能(ICPは親も対象と案内) |
| 住宅ローン | UAEの国内銀行のローンは可。ただし自己資本がAED 200万以上必要(ADRO) |
| オフプラン | 認可デベロッパーからの購入で、支払済額がAED 200万以上(ADRO) |
| 申請窓口 | アブダビの物件はADRO(TAMMポータル)経由で推薦を申請 |
1. ゴールデンビザとは ── スポンサー不要の長期居住ビザ
UAEの通常の居住ビザは、勤務先や家族などのスポンサーにひも付いています。ゴールデンビザはこれと異なり、投資家や専門人材などがスポンサーなしで長期に居住できる制度です。UAE政府公式ポータル(u.ae)は主な特典として、更新可能な長期ビザであること、スポンサーが不要であること、通常の居住ビザの維持に必要な「6か月以上の国外滞在をしない」という制約を超えて国外に滞在できること、配偶者・子どもなど家族をスポンサーできることを挙げています。
連邦当局ICPのゴールデンレジデンシー案内(2026年9月更新)では、有効期間は10年でスポンサー不要、配偶者と子ども(年齢を問わない)に加えて親の居住許可も取得でき、家事使用人のスポンサーも規定に沿って可能とされています。UAE国外にいる申請対象者には、手続きのための6か月有効の数次入国ビザ(さらに6か月更新可)が発給されるとしています。
注記:u.aeの一覧表では不動産投資家の在留期間を「5年」と記載している一方、ICPとADROは「10年」と案内しており、公的情報の間でも表記が分かれています。申請時点の期間は必ず当局に確認してください。
2. 条件 ── 「AED 200万以上」と「自己資本」の考え方
アブダビ居住者事務所(ADRO)とアブダビ経済開発局(ADDED)の公式ページは、不動産投資家向けアブダビ・ゴールデンビザの条件を次のように定めています。
- 購入した不動産(複数可)の合計価値が、住宅ローン部分を除いてAED 2,000,000以上であること
- 住宅ローンは、価値がAED 200万を超える物件について、UAEの国内銀行(national banks)からの借入であれば認められること
- 投資家自身の資本(エクイティ)がAED 200万以上であること。例として、AED 500万の物件なら残債元本はAED 300万以下でなければならない
ICPの案内も、UAE国内に合計AED 200万以上の不動産を投資家の名義で完全所有していること、ローンは認可された国内銀行からであれば可とすること、オフプラン物件は所管当局が認可した国内の不動産会社から合計AED 200万以上を購入していることを条件に挙げています。また、投資家と家族は在留期間を通じて有効な包括的医療保険に加入している必要があります。
2026年の「頭金要件の緩和」について:デベロッパーMODONの解説記事(2026年9月)は、最近の規則変更により、住宅ローンを使っても頭金の額にかかわらず物件の登記価値で判定されるようになったと説明しています。一方、2026年10月時点のADRO・ADDEDの公式ページには、前述の「自己資本AED 200万以上」の記載が残っています。ローンを組んで申請する場合は、事前にADROへ確認するのが確実です。
3. 物件のタイプ別 ── 必要書類
ADROが示す必要書類は、物件の状態によって異なります。
| 物件の状態 | 主な必要書類(ADRO公式) |
|---|---|
| 完成済み・ローンなし | 市町村・運輸局(DMT)等の登記機関に登録された売買契約書(購入時価格がAED 200万以上)、または同機関発行の不動産価値証明書のいずれか |
| ローンあり | DMT等が発行する不動産価値証明書と、差押えがなく価値がAED 200万以上であることを示すサーチ証明書 |
| オフプラン(建設中) | 認可デベロッパーとの売買契約書と、デベロッパーへの支払済額がAED 200万以上であることの証明 |
このほか、パスポート(残存期間6か月以上が目安)、証明写真、医療保険、メディカルチェック(健康診断)の結果などが必要です。ローンを利用している場合、銀行の同意書(NOC)を求められるのが一般的です。
オフプランの注意点:アブダビのオフプランは「頭金10%+建設期間中の分割払い」が一般的です(詳しくはアブダビ不動産市場のすべてを参照)。ADROの基準は支払済額がAED 200万以上であることなので、購入直後は条件を満たさず、支払いが進んだ段階で申請できるようになるケースがあります。支払いスケジュールとビザ申請の時期は、購入前に確認しておきましょう。
4. 申請の流れ
アブダビの物件で申請する場合、窓口はアブダビ居住者事務所(ADRO)です。ADROの公式ページによれば、UAE居住者は行政ポータルTAMMからゴールデンビザの推薦(nomination)を申請し、UAE非居住者はADROの担当窓口へ連絡して推薦を申請します。
一般的な流れは次のとおりです(ADRO公式情報とMODONの解説をもとに整理)。
- 物件の取得・登記:売買契約を登記し、価値証明書等を準備する
- 推薦の申請:TAMM(居住者)またはADRO窓口(非居住者)で申請
- 入国許可・ステータス変更:承認後、入国許可が発行される。すでに他の居住ビザを持つ人は切り替え手続きが必要
- メディカルチェック・生体情報登録:指定機関で健康診断などを受ける
- 発給:居住ビザとエミレーツIDが発行される
MODONの解説では、手続き中は原則としてUAE国内にいる必要があるとし、政府手数料の目安を通常処理で約AED 5,290、ファストトラックで約AED 6,280(いずれも同社の記載)と紹介しています。手数料や処理日数は改定されることがあるため、最新の金額は当局で確認してください。
5. 取得・維持にかかる費用
| 費用 | 目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 不動産の登記料(アブダビ) | 物件価格の約2%(取得時に一度) | MODON解説記事 |
| 仲介手数料 | 2%+VAT(仲介会社を使う場合) | MODON解説記事 |
| ビザ関連の政府手数料 | 約AED 5,290〜6,280(処理区分による) | MODON解説記事 |
| 医療保険 | 毎年(本人・家族分) | ICP(加入必須) |
UAEでは保有不動産への固定資産税や個人の所得税がない一方、こうした取得・手続き費用は発生します。資金計画には物件価格以外の費用も含めておきましょう。
6. 申請前に確認したい5つのポイント
- 名義:ICPは投資家名義での完全所有を求めています。共有名義や法人名義で購入する場合は、自分の持分がどう評価されるかを事前に確認してください。
- ローンの借入先:認められるのはUAEの国内銀行・認可銀行からの借入です。日本の金融機関からの借入で購入した物件は、扱いが異なる可能性があります。
- 売却したとき:ビザは不動産投資を根拠としています。物件を売却して基準を下回れば、別の要件で居住資格を維持する必要が出てきます。
- 日本の税務:ゴールデンビザを取得しても、日本の税法上の居住者かどうかは別に判断されます。日本居住者には国外財産調書などの申告義務があります。具体的な税務は専門家にご確認ください。
- 情報の鮮度:ゴールデンビザの要件は改定が続いています。本稿は2026年10月14日時点の公式情報に基づきます。申請時は必ずADRO・ICP・TAMMの最新情報を確認してください。
7. まとめ ── 「住む選択肢」を持てる不動産投資
アブダビでAED 200万以上の不動産を保有すると、スポンサー不要の長期居住ビザを申請できます。オフプランでも支払済額が基準に達すれば対象となり、家族の帯同も可能です。実際に移住しなくても、将来「住む」「子どもを留学させる」といった選択肢を持てることは、アブダビ不動産ならではの価値といえます。
どの物件・エリアが自分の目的に合うかは、アブダビ不動産エリアガイドで比較できます。日本から投資する際のリスクは日本からアブダビへにまとめています。物件選定からビザ申請を見据えた購入計画まで、BITEXのアブダビ不動産事業が日本語でサポートします。ビザの取得可否や投資判断は個別の状況によって異なるため、具体的な検討の際はご相談ください。
主要出典:Abu Dhabi Residents Office「Abu Dhabi Golden Visa for Investors」/Abu Dhabi Department of Economic Development「Abu Dhabi Golden Visa for Real Estate Investors」(2026年10月更新)/ICP「Golden Residency Guide」(2026年9月更新)/UAE政府公式ポータル u.ae「Golden visa」(2026年7月更新)/MODON「How to get the UAE Golden Visa by property investment: The 2026 guide」(2026年9月)。いずれも2026年10月14日に確認。
さらに詳しく知りたい方へ
情報誌『アブダビの全て 2026』は、全38ページ・6章構成の完全保存版です。市場データ、エリアガイド、税制・ビザ、購入の流れ、リスクまでを出典付きで収録しています。PDFはこちらのページから無料でダウンロードいただけます。個別のご相談はお問い合わせより承ります。
本稿は2026年10月14日時点の公的機関・デベロッパーの公開情報をもとにBITEX HOLDINGS LLC 編集部が作成したものです。ビザの要件・手数料は改定されることがあり、取得を保証するものではありません。申請・投資判断にあたっては、最新の公式情報と専門家への確認をお願いします。