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アブダビ不動産市場のすべて|価格上昇率・利回り8〜10%・税ゼロ・オフプランの仕組み

記事・コラムBITEX HOLDINGS LLC 編集部

2019年、アブダビは外国人に不動産の完全所有を解禁しました。ドバイに遅れること17年——だからこそ、いま世界の投資家がこの「若い市場」に注目しています。価格、利回り、需給、制度。投資判断に必要なデータを出典付きで整理します。

1. 2019年、外国人に開かれた市場

2019年4月、アブダビ首長国法第13号(Law No. 13 of 2019)が発効し、指定「投資ゾーン」内で外国人(個人・法人)が不動産の完全所有権(フリーホールド)を取得できるようになりました。それ以前は最長99年のリース権や地上権どまり。土地・建物を自分の名義で所有し、売却も抵当設定も自由にできる市場が、このとき初めて生まれたのです。

投資ゾーンはヤス島、サディヤット島、アル・リーム島、アル・マリヤ島、アル・ラハ・ビーチ、マスダール・シティなどの主要エリアを網羅し、2026年上半期には新たに8ゾーンが加わり合計50ゾーンとなりました。

年出来事
2002ドバイが外国人へ市場開放。以後20年で世界的市場に成長
2019アブダビが外国人へ市場開放(Law No. 13 of 2019)
2023ADREC(アブダビ不動産センター)設立。規制・登記・市場データを一元管理
2025取引総額1,420億AED(+44%)で過去最高。取引件数42,814件(+52%)
2026上半期だけで1,170億AED(+112%)。投資ゾーンは50、投資家国籍116カ国、FDI +309%

2. 価格上昇の実データ ── アパートメントは1年で+22〜31%

不動産指数REIDINによれば、2026年4月時点のアブダビ住宅価格は前年比+27.8%。うちアパートメントは+31.5%と急伸しました(ヴィラは+7.8%)。

区分直近1年の上昇率出典
アパートメント全体+31.5%REIDIN(2026年4月)
住宅全体+27.8%REIDIN
サディヤット島(アパート)+21%Knight Frank(2026年7月)
ヤス島(アパート)+18%Knight Frank
アル・リーム島(アパート)+18%Knight Frank
ヴィラ全体+7.8%REIDIN

それでも平均価格はドバイより約10%安い(Knight Frank)。「割安な首都」という評価が世界の投資家を呼び、取引額の伸び(+112%)につながっています。

正直な注記:「年20%超の上昇」はアパートメント市場・主要投資ゾーンの実績であり、市場全体・全物件の保証ではありません。ヴィラは+7.8%にとどまり、アル・リーム島のヴィラのように下落した区分もあります。過去の実績は将来の成果を保証しません。

3. 利回り8〜10%の根拠 ── 東京の約2倍で回る市場

アブダビの賃貸利回り(グロス)は市場平均で約6%台。ミッドレンジの投資ゾーンでは8〜10%に達します。東京都心の区分マンションのグロス利回りが3〜4%台であることを考えれば、およそ2倍の水準です。しかも賃料収入への個人所得税はゼロですから、手残りの差はさらに大きくなります。

エリア利回り(2025年)利回り(2026年上期)特徴
アル・リーフ9.68%8.92%アフォーダブル層の実需が厚い高利回りエリア
マスダール・シティ8.45%7.63%環境都市。大学・研究機関の賃貸需要
ヤス島7.07%5.94%エンタメ集積で観光・駐在の両需要
アル・リーム島約7%6%台金融地区隣接。実勢では1BRで9%台の例も
サディヤット島4〜5%台4〜5%台最高級エリア。値上がり益狙いが基本
市場平均6%台6.08%参考:東京都心の区分は3〜4%台

賃料も上昇しています。REIDINによれば2026年4月時点の賃料は前年比+12.0%。最大手デベロッパーAldarの投資ポートフォリオの入居率は96%と、空室リスクの低さを裏付けます。

注記:2026年6月、ADRECは賃料高騰対策として賃料値上げの一時凍結を導入しました。既存契約の賃料上昇には制限がかかる場面があります。利回りはグロス表記で、管理費等の控除前です。

4. 政府が需給を管理する市場 ── 供給はドバイの10分の1以下

不動産市場の最大の敵は「供給過剰」です。アブダビは政府が土地と開発を握り、供給量そのものを統制しています。

指標アブダビドバイ
2026年の新規住宅供給約6,500〜10,000戸約120,000〜131,000戸
住宅ストック年間増加率+3.3%—
人口増加率+7.5%—

大規模開発の主体はAldar(Mubadala系)やMODON(ADQ系)といった政府系資本のデベロッパーであり、市況を無視した乱開発が構造的に起きにくい設計です。Knight Frankは2026〜2030年の5年間の建設中住宅を約36,900戸と集計し、「需要の吸収力に合わせて供給がリリースされる」市場と評しました。

5. 「持ち逃げ」を制度が許さない ── エスクロー法制

オフプラン(建設前販売)で誰もが恐れるのは「デベロッパーの倒産・資金持ち逃げ」です。アブダビはこのリスクに、法律と資本の二重の備えを持ちます。

ステップ仕組み
1. 買主が支払いデベロッパー本体ではなく、ADREC承認銀行の「プロジェクト専用エスクロー口座」へ入金
2. 資金は法的に隔離デベロッパーの債権者からも隔離。他プロジェクトへの流用・土地代への充当は禁止
3. 進捗20%まで凍結工事進捗が20%に達するまで引き出し不可(承認コンサルタントが進捗を認証)
4. 進捗に応じて支払いマイルストーンごとに建設費として払い出し。留保金も制度化
5. 万一の際の返金契約解除・中止時の補償比率・返金手続きを法定(2025年行政決定)

加えて資本構成。最大手Aldar Properties(ADX上場)の主要株主は政府系ファンドMubadala系で、Moody’s格付はBaa1(投資適格)。2025年は純利益88億AED(+36%)、開発受注残717億AEDと過去最高を更新しました。MODON Holdingは政府系ファンドADQとIHCの資本統合(約120億ドル)で誕生した、いわば国策デベロッパーです。

正確な表現のために:「倒産リスクがゼロ」ではありません。正しくは「政府系資本のデベロッパー」+「代金が国の監督下で保全される法制度」の組み合わせで、買主の資金リスクが制度的に抑えられている、ということです。

6. 頭金10%から、無金利の分割で

アブダビの新築(オフプラン)購入は、日本の常識とはまるで違います。住宅ローンを組まずに、デベロッパーへの無金利分割払いで買えるのです。

タイミング支払割合金額(AED 200万の物件)備考
予約時(頭金)10%200,000住戸確保。売買契約(SPA)締結へ
建設中(マイルストーン連動)70%1,400,000引渡までに計80%。数カ月ごとに無金利分割
引き渡し時20%400,000鍵の受領・登記完了

金利はゼロ。ローン審査もありません。年齢や借入枠に縛られず、キャッシュフローを分散しながらドル建て資産を仕込めることを意味します。プランは物件ごとに異なり、引渡後2〜3年分割(ポストハンドオーバー)型もあります。購入時にはADRECへの登記(登録料は物件価格の約2%)を行い、買主の権利が公簿に記録されます。

7. 固定資産税ゼロ、相続税ゼロ。そして10年ビザ

項目アブダビ日本(参考)
保有時:固定資産税なし評価額の約1.7%/年(都計税含む)
賃料収入への所得税なし総合課税(最大55%)
売却益への課税なし譲渡所得税 約20〜39%
相続税・贈与税なし最大55%
取得時の登記料約2%(一度のみ)登録免許税・不動産取得税ほか

さらにAED 200万(約8,000万円)以上の不動産保有者には、10年間有効・更新可能な「ゴールデンビザ」の申請資格が与えられます。配偶者・子どもの帯同が可能で、オフプランでも支払済額が200万AEDに達していれば対象です。申請はアブダビ居住者オフィス(ADRO)/TAMMポータル経由で行います。

注記:法人・事業としての保有はUAE法人税(9%)の対象となる場合があります。日本居住者には日本側の課税・申告義務(国外財産調書等)があります。「税ゼロ」はUAE側の話であり、日本側の申告を怠れば脱税になります。具体的な税務は必ず専門家にご確認ください。

主要出典:Abu Dhabi Law No. 13 of 2019/Law No. 3 of 2015・No. 2 of 2025/ADREC公式/REIDIN/Knight Frank(2026年7月)/Bayut(2025年通年・2026年上半期)/CBRE/Moody’s/ADRO公式(2026年8月時点)

さらに詳しく知りたい方へ

本稿のもとになった情報誌『アブダビの全て 2026』は、全38ページ・6章構成の完全保存版です。市場データ、エリアガイド、税制・ビザ、購入の流れ、リスクまでを出典付きで収録しています。PDFはこちらのページから無料でダウンロードいただけます。個別のご相談はお問い合わせより承ります。

本稿は情報誌『アブダビの全て 2026』(2026年8月発行・BITEX HOLDINGS LLC)の内容をもとに編集したものです。記載の数値・見通しは執筆時点の公開情報に基づくものであり、将来の成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。

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